今夜ユウノカリイショ

エッセイや小説を投稿いたします。拙いですが、よろしくお願いします。

2019年、とある月の僕 

 2020年になってしまった。僕にとっての2019年は挑戦の年であったが挑戦などという言葉でカッコつけてくくれるものであっただろうか?とても濃い一年を過ごしたがそんなこと毎年言っているような気がする。それにしてもいろいろな事が始まった。

 ダンス教室に通い始めたこと。ドラムとベースをちゃんと始めたこと。やっと一人でDAWで音源を作れるようになったこと。リラクゼーションサロンで働いたこと。初めてアイドルにドハマりしたこと。わからなかったビールが大好きになったこと。弾き語り動画を毎日のように投稿したこと。読書をまた始めたこと。ブログを始めたこと…etc 

 挑戦とまではいかないようなことも多いけれど様々なことに手を出し、中途半端ではあるものの、それらは僕の心を安定させてくれたし、生活に活気をもたらせてくれた。すべてに没頭できたおかげで昔よりは自分と向き合い考えすぎる時間が減り、それらは僕の中から不安という化け物を追い出してくれた。人間は何でもいいから忙しいほうがいい。

 まるまる一か月ニートになったことがある。辞めた職場の最後の給料で生活をした。すぐに次の仕事を探さなかったのは一日中自由に音楽をしたかったから。それと給与明細を見て変な余裕を感じてしまったからであった。当たり前だが考えが甘かった。口座に穴が開いてるのではないかと思うほどお金が消えていった。堕落した生活のつけがすぐそこの未来の僕をとことん苦しめたのだ。早く働かなくてはと思いつつ一度このぬるま湯に体を沈めると行動が次々先送りになり、やっと今のバイト先の面接を受けた頃には月が変わってしまっていた。あのときどんな生活をしていたっけか?

 午前11時にぬくぬくと起床。朝ごはんを食べて散歩に出かける。外の空気を体内の眠気と入れ替え、少し傾いた日光を全身に浴びる。そのまま帰るか、スタバに寄ってコーヒーを飲みながら本を読んだ。前の職場のお客さんからもらったギフトカード3000円分を毎日消費した。これは本当にありがたかった。

 ほぼ毎日吉祥寺に用もなく出没してはぷらぷらし、井之頭公園のベンチで池にぷかぷか浮かぶカモをぼけーっと見つめていた。ちょっと落ちぶれたキアヌリーブスのように周りから写ったらいいなとイメージしていたが、てめぇは何様だ。ただの暇を持て余した平日の落伍者Aだろうが。

 帰るころには昼過ぎで適当に音楽をしていた。そう、適当だったのだ。元々は全力ですべての時間を創作に捧げるつもりでいた空白の日々の余韻が、パソコンのキューベース画面ではなく、カモのふりふりしたおしりなのだ。笑える。

 音楽にあきたらYouTubeをダラダラと見る時間が始まり、お腹がすいたら食べて、眠くなったら布団にもぐる。日が沈んだ頃に目が覚めて後悔するが、そのあとも大した事をするまでもなくきっとスーパーまで発泡酒を買いに行き、深夜までYouTubeをつまみに時間を持て余していた。2時ごろ眠りについて、そしてまた午前11時に起床する。

 

 冒頭の挑戦の年であったというのは取り消したほうがよさそうだ。ある意味で全力でニートの生活に浸ったことも挑戦のうちに入れてしまおうか。あほか。しかしこのニートの生活の中でも僕は中途半端に努力のようなものをしてしまっていた。多くの時間は怠惰であったが一日の数時間は勉強したり、ダンスの振りを覚えたり、曲の練習をしていた。それが逆に僕の罪悪感をぬぐい、微妙な充実感のせいでこの生活をだらだら延長させていたのだ。(後の延長料金で大変貧しい思いをした)

 どんなに決意して目標を作っても何もない日々の中から達成し続けることは簡単にみえて実はちょっと難しいのかもしれない。期日を設けるにしても自分で決めたことで誰かに頼まれたわけでもない、ましてや仕事としてお金が発生しないのなら期日を決めても結局守れなくなる。この日までに完成しなければ君の母親が死ぬといわれたら眠らずやるくせに。(そもそも本来は好きの力を信じて理由なくとも音楽に熱中できればいいのだがそれができていたらこんな反省文など書かない)

 次の日も、また次の日も、真っ白なスケジュールの中で自分の決めたことを達成するのは僕の当時の意志の弱さでは少し難しかったようだ。今思うとなにを甘いことを言ってるんだと思うが、あの狭い部屋の中で一人こもり、時間だけ与えられるとそんな風に変わってしまうのかもしれない。ニートにしか分からないつらさもあるんだろうなぁ。などとどこかの誰かに思いをはせる。

 忙しすぎて余裕がなくなるのもよくないかもしれないが時間が有り余っても人間は駄目になる気がした。退屈は体に毒だ。退屈ほどではなかったかもしれないが環境や時間の使い方は考えたほうがよさそうだと思った。どんどん生温かいスウェットが似合う男へ変わっていった。顔つきが暗闇の豚小屋から連れてきたそれだった。浸ってしまえばなかなか抜け出せるものではない。

 そんな生活の中で僕はある日財布を無くした。それが目を覚ますすべてのきっかけだった。罪の意識のメーターがたまりようやく僕は布団から抜け出し、その布団も畳めるようになった。ずっと長い夢をみていたようだった。あんなに自由を欲していた眠る前とまるで考えが違うことに笑った。いつだってないものねだりだ。

 2019年の年末は新たに始めたバイトにやっと慣れ始め、ダンスのライブのリハに毎週参加し、音楽は毎日悩まされながらも手探り手探りでDAW作業をして、曲をどんどん増やすことに集中した。なんだかんだそれだけがやっぱり一番嬉しいし安心できる。つまりは充実しながら毎日期日に追われてまぁまぁ忙しい日々を取り戻せていた。自分で決めた期日だがバイトとの時間のメリハリのおかげで没頭できる時間が増えたのだ。本当は夢のためにももっと沢山音楽にのめりこみたい、年齢という大きな期日の中でさらに加速した状態で打ち込みたいが…まぁそんなにあせらないで。楽しさやワクワクする気持ちを大切に今年もどんどん挑戦していこう。

よろしくね2020年。

 

今夜ゆうすけ🌙火花🎇今年最後に出す新曲です。2019年は皆さんにとってどんな年でしたか?僕は僕が納得いくまで音楽を作っていきたいです。完全燃焼するには情熱の火が消えていても構わなくなりました。わずかな熱で火花を散らして、2020年はこの頼りない身体をひきつづって限界まで歩み続けようと思います。#生きている限りバッドエンドはない#さようなら2019