今夜ユウノカリイショ

エッセイや小説を投稿いたします。拙いですが、よろしくお願いします。

スマホがないと…。

前の記事の続きです。

 スマホをなくした。望みを捨てずにまた銭湯に聞きに行くべきか迷ったが今僕にできることはどうやら本体を探すよりも、万が一悪用されない対策を探すべきだった。

 とりあえずはあと何回かは自分の端末に電話をかけてみよう。公衆電話を使うのは何年ぶりだろうか?今はもはやこういう困った人たちのために緑色の電話は存在してくれている気がする。 駅前の公衆電話を使った。ポストとかATMなどもそうだが、街のこんなところにあったんだとぼんやり覚えておくといざっていうときに助かったりする。

 昨日のことだからまだわずかにバッテリーは残ってるはずだ。僕は数時間おきに電話をかけた。最初は確かにプルルルルと聞こえていたが三回目をかけたときには電源がもうはいっていないようだった。誰かの手にあるわけではなさそうだが必ずしも安全ではないように思えた。10円を入れるのも虚しくなった。

 iPhoneを探すというアプリがあった。iPhoneをなくしたときにGPS機能を使って今現在のiPhoneの居場所を確認することができるアプリだ。僕はパソコンを持っているのでそこから探すことはできないか?試してみたが、アップルIDのパスワードが必要のようで僕はicloudのメールアドレスもパスワードも忘れてしまっていた。僕はアプリやサイトのログインに必要なパスワードはすべてメモしている。(当たり前か…。) しかしなんとそれもすべてスマホの中に!アホだ。

 そのメモの中こそ一番見られてはいけないものだった。アプリやサイトのパスワードはもちろん口座の暗証番号とかアマゾンパスワード、メール、ラインやSNSのログインパス、そして昔書いたポエムの数々…!! パスワードの項目に至っては親切に「すべてのパスワード」というタイトルにしていた。わかりやすすぎる。これをどう悪用されるかよくわからなかったが心配でたまらなかった。

 だいぶ前にGメールにすべてのパスワードをコピーし、メール本文にペーストして自分自身のアドレスに送ったことがあったのを思い出した。こうすることでスマホはなくてもパソコンから確認できる!パソコンのGメールは自動ログインなのですぐに開けた。昔送られてきた「すべてのパスワード」をキーワードに検索した。やや絶望した。メールは見つかったがなぜかアップルIDは書いていなかった。最初からメモをしてなかったのだ!アホだ。

 とりあえずなくしたスマホの機能を停止させなくてはならない。まず最初に本当はこれをしなければいけないのだ。ワイモバイルに電話して止めてもらった。これで悪用されることはないはずだ。アホめ!

 そのあともアップルIDはなんとしてもとりもどしたかったのでパソコンと一時間くらいログインするために格闘していた。せめてicloudのメールアドレスさえ知っていれば状況は変わっていたのだが、スマホがない中でアップルIDを手に入れるのは難しいようだ。ほかにもいくつかやり方はあっただろうにもう僕はめんどくさくなってしまい、最後アップルサポートセンターに電話して聞いてみようと思った。

 駅前の公衆電話から10円ではなく100円を携えてアップルサポートセンターに電話をかけた。長い自動音声の後に僕自身の端末を確認するためにIMEIという15桁の数字をいれなくてはいけなかった。購入時に入れていた箱の裏にこのナンバーが小さく載っている。念のためとはいえ箱を持ってきてよかったぁと思った。ロボットからやっと生身の人間(しかも女性)の声がして安心した。丁寧にいろいろ基本情報を聞かれ本人と確認できたころには100円は二枚目を投入していた。本人と確認できたのだからアップルIDを聞きだせるんじゃないか!いけるんじゃないかこれ!と思ったが、 残念。本人と事情は分かっても電話越しでアップルIDは伝えられないようだった。向こうは分かってるかもしれないのになんか歯がゆくなった。

 後日あきらめて新しいiPhoneを買った。新しいアップルIDを作りちゃんと手書きでメモをした。ほかのパスワードたちもすべて書き写し、不安なものは新しいパスワードにした。真っ白なメモのアプリにも今度はちゃんとロックをかけた。さらにそのロックにもパスワードがいる。前にテレビで俳優の大杉漣さんが「パスワードがごちゃごちゃになるんだバカヤロー」といってた。ほんとにそうだ。いちいちメモするのは正直めんどくさいし、パスワードをパスワードでロックするというのも少し馬鹿馬鹿しい気がしてめんどくさい。でもいつだって大事なことはめんどくさいのだ。

 僕みたいなのがが二日三日連絡が取れなくなるのは大した支障はないが大事な仕事の内容、取引先の連絡先がすべてこの手元の小さな端末に詰まっているような人々は一日ないだけども生きてる気がしないだろう。スマホ依存症のひとなんかはもはや肌身離さないので失くすなんてことはないだろうが、盗まれたりしたら発狂でもするのだろうか?普段誰とも連絡を取らないような僕でさえ少し不安になった。僕も十分に現代病なのかもしれない。

 そういえば失くしたiPhoneの端末代金だが、まだ一年くらい残されていた。そして新しいiPhone6のローンも始まりいよいよ僕はスマホ首どころかスマホに首を絞められる状態になりつつあった。メモの新しいパスワードリストのタイトルは

「もう絶対なくすなよ!大変なんだから。」にした。